コーヒー豆知識
トルココーヒーとは?原理や淹れ方、歴史について解説!
「トルココーヒーに興味があるが、どういうものなのか分からない」
「トルココーヒーを飲んでみたいけれど、どうやって淹れるのか分からない」
このような悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。
本記事ではトルココーヒーとは何かについて解説します。トルココーヒーの原理や淹れ方、歴史などについてまとめました。
本記事を読むことで、自宅でも美味しいトルココーヒーを楽しめるようになります。トルココーヒーに興味がある方はぜひ参考にしてください。
トルココーヒーとは?
トルココーヒーは、トルコ独自のコーヒーの抽出方法・淹れ方を指します。トルコでは日本で広まっている方法とは異なるやり方でコーヒーが飲まれています。
トルココーヒーは、細かく挽いたコーヒーの粉を熱湯で煮立てて抽出するというやり方です。煮立てたら、カップに注ぎ上澄みだけを飲みます。
ブラックで飲むこともありますが、砂糖と一緒に煮立てることも多いです。また、クローブやペッパーなどのスパイスを入れて飲む場合もあります。
他のコーヒーに比べて非常に濃く、濃厚なコクと苦みを感じられます。好みが分かれるコーヒーですが、愛好者も多くいます。
トルココーヒーの原理は?砂から湧き出る仕組み
トルココーヒーを作る映像を見たことがある方は多いかと思います。トルコでは、まずコーヒーが入った銅製の「ジャズベ(CEZVE)」、または「イブリック(IBRIK)」と呼ばれる、小さなひしゃく型の小鍋を砂の上に置きます。ひしゃく型の小鍋を移動させると、コーヒーが湧き上がっているような感じになります。
あの映像はまるで魔法のように感じられる方も多くいます。しかし、原理はいたって単純です。ただ、熱々の砂を使ってコーヒーを沸騰させているだけです。
砂の下には熱源があり、砂はかなり熱い状態になります。そこに小鍋を置くとあっという間に熱が伝わり、コーヒーが激しく沸騰します。沸騰したらカップに移して、また砂の上に置きます。何度も繰り返すことによって、無限にコーヒーが湧き出てくるように感じます。
トルココーヒーの歴史
トルココーヒーが誕生したのはオスマン帝国と言われています。オスマン帝国は14〜20世紀初頭まで存在した帝国です。
約450年前、イエメン統治者オズデミル・パシャによってコーヒー豆が皇帝に献上されました。その後、イスタンブールのタフタカレ地区を中心にトルココーヒーが飲まれるようになります。最初は宮廷や上流階級の間で楽しまれ、やがては庶民にまで、トルココーヒーが広がるようになりました。
時が進み2013年12日5日。トルココーヒーはユネスコの無形文化遺産に登録されました。トルココーヒーが世界中で飲まれていることや、伝統的な飲み方が受け継がれていることなどが、登録理由であると推測されます。
現在は12月5日が世界トルココーヒーの日になっています。
トルココーヒーの特徴
トルココーヒーは粉を水に浸漬して沸騰させて、上澄みだけを飲むというものです。抽出方法から想像できるように、トルココーヒーはかなり味が濃いです。少ない量のコーヒーのエキスが凝縮されていて、強い苦みを味合うことができます。
トルココーヒーを飲んだことがない方はいきなりブラックで飲むと、苦手意識を持ってしまうかもしれません。最初は砂糖を入れて飲むことをおすすめします。
また、トルココーヒーはカップの底まで飲み干してはいけないのも特徴です。カップの底に沈殿した粉が口に入ると、むせてしまうこともあります。
ちなみに、日本では「ドリップ」という抽出方法が主流です。「ドリップ」はコーヒー粉にお湯を注ぎ、フィルターを通すことで抽出するというやり方です。
他には「エスプレッソ」という方法も有名です。専用のエスプレッソマシンを使ってコーヒー粉に圧力をかけて一気に抽出するというやり方です。
ドリップコーヒーはそこまで濃くならず、コーヒーが苦手な方でも飲みやすいです。対してエスプレッソコーヒーは圧力をかける分、多くのエキスが抽出され、コーヒーらしい苦みとコクを味うことができます。その苦みと濃厚な味わいから、トルココーヒーはエスプレッソの原型ではないかと言われることもあります。
トルココーヒー占いとは?
トルココーヒー占いというものが存在します。トルココーヒーを飲み終えると、カップの底に粉が残ります。この粉を使って占いを行うことが可能です。
まず、カップをひっくり返してソーサーの上に置きます。ソーサーに粉が落ちてきたら、再びひっくり返して底にできた模様を見ます。粉の模様を見て、未来の運勢を占います。
UCCコーヒー博物館に提示されている資料から、粉の模様による意味を少し紹介します。
- 全体に流れている:好調に展開、周囲からの協力に期待が持てる
- 底に固まったまま:じっと我慢の時、他人との論争は避ける
- 取っ手の方に流れていたら:大きな幸運に恵まれる 直感力、想像力が冴える
- 取っ手と反対の方に流れていたら:健康に要注意
- 飲み口の方に流れていたら:直感を過信せず、結論を急がずじっくりと考える
トルココーヒーとは?
トルココーヒーを味合うには次の3つの方法があります。
- トルコで本場の味を楽しむ
- 自宅のコンロで作る
- 日本のコーヒーショップで飲む
日本のコーヒーとは違う深くて濃厚な味を楽しみたい方は、ぜひ試してみてください。1つ1つの方法について詳しく解説していきます。
トルコで本場の味を楽しむ
トルココーヒーの味をしっかり楽しみたいなら、トルコ旅行に行くこともおすすめです。熱した砂の上で沸騰させた、本場のトルココーヒーの味を体験することが可能です。
日本からトルコまでの飛行時間は13時間程度です。また、日本とトルコの間には時差が6時間程度あります。日本で昼の12時だと、トルコでは朝の6時ぐらいになります。
イスタンブールは世界中の観光客に人気のある都市で、一般的には旅行先として安全な観光地です。イスタンブールには多くの喫茶店があり、そこでトルココーヒーを楽しめます。イスタンブールの美しい景色を眺めながら、セットで出されるお菓子と一緒にコーヒーを優雅に飲むことができます。
日本のコーヒーショップで飲む
一部のコーヒーショップのみですが、日本でもトルココーヒーを楽しむことが可能です。特に、東京の下北沢にある「ザ・モスク・コーヒー」はトルココーヒー専門店ですので、トルココーヒーに興味があるなら行ってみることをおすすめします。
コーヒーショップでは砂糖の量を聞かれることが多いです。トルココーヒーはかなり苦いので、普段ブラックを飲む方でも少し砂糖を入れることをおすすめします。
自宅のコンロで作る
自宅でもトルココーヒーは楽しむことができます。本場のトルココーヒーは砂とイブリックと呼ばれる小鍋が使われます。ただ、普通の小鍋とコンロでもトルココーヒーは作れます。ドリップコーヒーやエスプレッソコーヒーよりも必要な器具は少ないです。
具体的な作り方は次の項目で紹介します。
トルココーヒーの簡単な淹れ方・飲み方
続いて、トルココーヒーの簡単な淹れ方や飲み方を紹介します。トルココーヒーは専用の器具がなくても、自宅で手軽に作ることが可能です。
トルココーヒーを淹れる・飲む手順は次のとおりです。
- コーヒー豆を挽く
- 鍋にコーヒー粉と水を入れる
- コーヒーを淹れる
- トルココーヒーを味わう
各手順について詳しく解説していきます。
1.コーヒー豆を挽く
まず、コーヒー豆を挽く必要があります。コーヒー豆を挽いて粉にするには、グラインダーという器具が必要です。コーヒー豆の挽き方には何種類かありますが、トルココーヒーには極細挽きが向いていると言われています。極細挽きは上白糖よりも少し細かいぐらいです。
極細挽きにすることで、コーヒーのコクや苦みが強くなります。反対に粗挽きにすると、酸味が強くなります。ちなみにドリップコーヒーの場合は中挽き、エスプレッソコーヒーは細挽き〜極細挽きを選択することが多いです。
2.鍋にコーヒー粉と水を入れる
次に、鍋にコーヒー粉と水を入れます。
実際のトルココーヒーは専用のポットで作られますが、ない場合は小鍋でも問題ありません。小鍋にコーヒーの粉と水を加えます。水の量はコーヒー豆8〜10gに対して60〜70ccが目安です。砂糖を入れるかどうかはお好みですが、トルココーヒーはかなり濃くなるので、飲みやすくするために最初は入れることをおすすめします。
3.コーヒーを淹れる
小鍋をコンロに置き、スプーンで混ぜながら弱火でじっくりと煮立たせます。沸騰したら火から下ろし、軽くかき混ぜた後、再び火にかけます。これを2〜3回繰り返します。
その後、カップにコーヒーをゆっくりと注ぎます。トルココーヒーに使うカップは、デミタスがおすすめです。デミタスは小容量のカップで、エスプレッソコーヒーを飲むときにも使用されます。
4.トルココーヒーを味わう
コーヒーを注いですぐに飲むのではなく、粉が底に沈むまで少し待つ必要があります。上の泡が消えかかってきたら飲み頃です。上澄みのみを口に含んで、香りを楽しみながら味わってみましょう。
もし粉が口に入ってしまったら、水を飲んで流し込んでください。また、コーヒーを飲む前にも少し水を飲んでおくと、コーヒーの味が引き立って美味しく感じられます。
トルココーヒーは最後まで飲まず、粉が沈殿した部分は残しておきます。せっかくなので、トルココーヒー占いをやってみるのも良いでしょう。
トルコに関するその他の知識
最後に、トルコに関するその他の知識を紹介します。トルコ旅行に行くなら、トルコに関する知識を持っておいた方が楽しめます。
トルコはどういった国?
トルコの最大の特徴はアジアとヨーロッパの2つにまたがっていることです。このことからトルコは交易で発展してきました。「アジアとヨーロッパの架け橋」とも呼ばれています。
また、トルコの土地は古代ギリシアやローマ帝国、オスマン帝国といった、多くの文明が栄えた場所です。そのため、遺跡や宮殿などの歴史遺産が数多く残っています。
トルコは親日国であるのも特徴です。1890年に日本近海でオスマン帝国の軍艦「エルトゥールル号」が沈没したとき、日本人が救助を行ってたくさんのトルコ人の命を救ったことから、親日国になったと言われています。
トルコは物価が安くて歴史遺産も多く、都市の町並みも美しいので、観光地としても人気が高いです。トルコの文化に興味がある方は一度行ってみると良いでしょう。
トルコの食文化
トルコ料理はフランス料理や中華料理と並び、世界三大料理に数えられています。
これは、トルコ料理がオスマン帝国の宮廷料理を基盤に、アジア、ヨーロッパ、中東の影響を受けながら発展してきたため、豊富な食材と調理法、多様な味わいを持つためです。
トルコ料理の中でも日本人に有名なのは「ケバブ」でしょう。ケバブは肉や魚などを焼いた料理全般を指します。ケバブの中でも、スライスした肉を何枚も重ねて回転させながら焼くドネルケバブは、調理方法の斬新さからも知名度が高いです。ドネルケバブの原型では、マトンやラム肉が使われます。近年は牛肉や鶏肉なども多く使われています。
その他、ピラフの語源となったと言われる「ピラウ」も有名です。
トルコ旅行に行ったら、美味しいトルコ料理も堪能してみると良いでしょう。
コーヒーと楽しめるトルコのスイーツ
トルコには美味しいスイーツも多くあり、コーヒーと一緒に楽しむことができます。
スイーツの中でも定番なのがターキッシュデライトです。トルコ語で「ロクム」と呼ばれます。トルコの喫茶店でトルココーヒーを頼むと、ターキッシュデライトが添えられることが多いです。
ターキッシュデライトは水と砂糖、コーンスターチを加熱しながら練り固めたもので、柔らかくて弾力のある食感とほど良い甘さが魅力です。トルココーヒーの苦さとよく合います。
まとめ
本記事ではトルココーヒーとは何かについて詳しく解説しました。トルココーヒーの特徴や歴史、淹れ方などがお分かりいただけたかと思います。
トルココーヒーには日本のコーヒーにはない魅力が詰まっています。興味がある方は、ぜひ一度味わってみてほしいです。専用の器具がなくても小鍋があればトルココーヒーは作れます。
また、本場の味を楽しみたい方はトルコ旅行に行ってみることをおすすめします。トルコは「アジアとヨーロッパの架け橋」とも呼ばれており、独自の文化が根付いていて観光地として人気があります。ケバブを始めとするトルコ料理を楽しめるのも魅力です。