コーヒー豆知識
【初心者向け】ドリップコーヒーのおいしい淹れ方は?必要な道具やコツ
「ドリップコーヒーの淹れ方が分からない」
「コーヒーを自分で淹れてみたが、あまり美味しくなかった」
このような悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。
本記事ではドリップコーヒーのおいしい淹れ方について解説します。コーヒーを淹れるのに必要な道具や、コーヒーを美味しくするコツについてもまとめました。
本記事を読むことでドリップコーヒーの淹れ方が分かり、自宅でおいしいコーヒーを楽しめるようになります。ドリップコーヒーを自分で淹れるのに興味がある方はお読みください。
ドリップコーヒーとは?
ドリップ(drip:滴下)はコーヒーの抽出方法の1つです。コーヒーを淹れる際はまず、コーヒー豆を挽いて粉にする必要があります。
ドリップは、コーヒー粉の上からお湯を注ぐ、というシンプルな抽出方法です。
ドリップの中でもペーパーフィルターを使用するものは、ペーパードリップと呼ばれます。本記事では主に、ペーパードリップの方法について解説します。ぜひ参考にしてみてください。
ドリップコーヒーを淹れるのに必要な道具
ドリップコーヒーを淹れるには、次のような道具を揃える必要があります。
・コーヒー豆
・ドリッパー
・ペーパーフィルター
・コーヒーサーバー
・コーヒーミル(コーヒーグラインダー)
・ドリップポット
・計量はかり
これらの道具をしっかり揃えることで、初心者でも失敗を防ぎやすくなります。各道具の詳細について説明していきましょう。
コーヒー豆
コーヒー豆はスーパーや喫茶店などで購入可能です。初心者はまずはコーヒー豆の鮮度、つまり「豆の焙煎日」に着目して選びましょう。コーヒー豆は焙煎してから2〜4週間が最も風味が豊かとされているので、可能であれば焙煎日が近いものを選ぶのがおすすめです。
また、豆の鮮度を保つために大量購入は避けましょう。1〜2週間で飲みきれる量を買うのが理想です。
鮮度以外にも、豆の産地や焙煎(生豆を煎り熱や圧力を加えること)度合いによってコーヒーの味は変化します。
・パッケージの味覚チャートを参考にする
・挽き売り店で信頼できるロースターから購入する
慣れてきたらこれらも行い、自分の好みに合わせたコーヒーを飲めるようになりましょう。
ドリッパー
ドリッパーはコーヒーを抽出するための道具で、ドリップコーヒーを淹れるには欠かせないものです。ドリッパーにコーヒー粉が入ったフィルターをセットし、上からお湯を注ぐことで、コーヒーを淹れます。
ドリッパーは円すい型や台形型など、様々な形状のものがあります。形状やタイプによってお湯の透過スピードが異なり、それによってコーヒーとお湯の接触時間が変わるので、コーヒーの味にも変化が生まれます。
円すい型のドリッパーは透過スピードが速く、コーヒーとお湯の接触時間が短いので、すっきりとライトな味わいのコーヒーに仕上がります。一方で、台形型は透過スピードが遅く接触時間が長いので、比較的コクのある味わいのコーヒーに仕上がります。
自分の好みやコーヒー豆の特徴に合わせてドリッパーを選びましょう。
ペーパーフィルター
ペーパーフィルターは、ドリッパーとセットで使用します。
ドリッパーの形状に合わせてペーパーフィルターの形状を選ぶようにしましょう。ペーパーフィルターが一般的ですが、布製のネルフィルターや金属製のフィルターもあります。
コーヒーサーバー
コーヒーサーバーは、ドリッパーから落ちてきたコーヒーをうける容器です。1人分しか作らないならドリッパーから直接カップに入れても構いませんが、何杯か作っておきたい場合はコーヒーサーバーを使いましょう。
なお、コーヒーサーバーに長時間保存しておくのはおすすめしません。後で飲みたい場合は、保温ができるケトルやタンブラーに移し替えることをおすすめします。
コーヒーミル(コーヒーグラインダー)
コーヒーミルはコーヒー豆を粉にするための道具で、コーヒーグラインダーとも呼ばれます。豆からコーヒーを作りたいなら必ず必要な道具です。豆に直接お湯を注いでもコーヒーの成分は浸透しないため、粉にする必要があります。
コーヒーミルには刃が付いていて、豆を砕くことが可能です。また、手動タイプと電動タイプの2種類があります。手動タイプはハンドルを手動で回すタイプであり、時間と労力がかかる反面、値段が安く、コーヒーを挽く楽しさがあるのがメリットです。電動タイプはボタンを押すと刃が自動で回るタイプであり、値段は高いものの、労力を減らせます。
ドリップポット
ドリップポットは、お湯をコーヒーフィルターに注ぐためのポットです。普通のポットより注ぎ口が細く、コーヒーを淹れるのに特化しています。普通のポットでもお湯は注げますが、注ぎ口が太いので量の微調整が難しいです。
ドリップポットの中には湯沸かし機能が付いたものもあり、ドリップケトルと呼ばれています。ドリップケトルは、沸かしたお湯を移す必要がなくて便利です。
また、温度調節ができるタイプやデザインがおしゃれなタイプもあるので、好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
計量はかり
コーヒー粉などの分量を正確にはかるために、軽量はかりを準備しましょう。
分量はメジャースプーンでもはかれますが、スプーン1杯の分量はメーカーや製品によって異なるので、軽量はかりがおすすめです。軽量はかりを使ってコーヒー粉の分量を微調整することで、コーヒーの濃さを自分好みにすることができます。
ドリップコーヒーの淹れ方
ドリップコーヒーのおいしい淹れ方を紹介します。
ドリップコーヒーを淹れる手順は次のとおりです。
1.お湯を準備する
2.コーヒー豆を挽く
3.ドリッパー、サーバーとカップを温める
4.ペーパーフィルターをセットする
5.ペーパーフィルターにコーヒー粉を入れる
6.少量のお湯を注ぐ(蒸らし工程)
7.数回に分けてお湯を少しずつ注ぐ
8.抽出したコーヒーをカップに注ぐ
ここでは、1杯のコーヒーを淹れるやり方を中心に解説します。
1.お湯を準備する
まず、ドリップケトルなどでお湯を沸かす必要があります。
1人分の湯量は160cc使用しますが、お湯はポットの7〜8割を目安に入れて使用することで、湯の圧力を一定に保ち、安定して注ぐことができます。
お湯の温度の目安はコーヒーの成分がバランスよく抽出される、92〜96℃です。沸騰直後だと少し熱いので、適温になるまで冷ます必要があります。
2.コーヒー豆を挽く
次に、コーヒー豆を挽いて粉にします。コーヒー豆はだいたい10〜12gが目安です(1人分、中細挽の場合)。メジャースプーンだと1杯〜1.5杯分くらいです。
コーヒー豆の挽き具合は中細挽きがおすすめです。中細挽きは、粒がグラニュー糖くらいの大きさになります。豆の挽き具合によって、お湯とコーヒー粉の接触時間(抽出時間)が変わります。
粗く挽くと粒子が大きいため、お湯が速く通り抜け、コーヒーの味が薄くなります。細かく挽くと粒子が小さく、お湯の流れが遅くなるため濃厚で力強い味わいになります。ただし、過抽出(オーバーエクストラクション)になると、苦味が強くなりすぎてしまうことがあるので注意しましょう。
できればまとめて挽くよりも、コーヒーを淹れる度に必要な分量を挽くことをおすすめします。まとめて挽くと香り成分が失われ、酸素に触れやすくなるため、コーヒーの鮮度が落ちてしまうためです。
3.ドリッパー、サーバーとカップを温める
次に、ドリッパー、サーバーとカップを温める必要があります。この工程を入れることでさらにおいしいコーヒーが作れるので、省かないことが大切です。
ドリッパー、サーバーとカップを温めないと、コーヒーを淹れるときにお湯が適温ではなくなってしまいます。また、抽出後のコーヒーが冷めてしまう原因にもなります。コーヒーはお湯の温度が重要です。
4.ペーパーフィルターをセットする
次に、ペーパーフィルターをドリッパーにセットします。
ペーパーフィルターは、2箇所の接着部分を互い違いに折り、しっかりと密着させるようにしてセットします。互い違いに折ると、フィルターの強度がアップし、ドリッパーとの密着度を高めることができます。
5.ペーパーフィルターにコーヒー粉を入れる
次に、ペーパーフィルターに挽いたコーヒー粉を入れます。
粉を入れた後はドリッパーをゆすって、表面を平らにするのがポイントです。表面が傾いた状態でお湯を注いでしまうと、お湯がコーヒー粉全体に行きわたらず、抽出ムラの原因になりますので気を付けましょう。
6.少量のお湯を注ぐ(蒸らし工程)
ここからはいよいよ、コーヒーを抽出する作業です。
まず、20cc程度の少量のお湯を粉全体にゆっくり注ぎます。この際、コーヒーフィルターに直接お湯がかからないように気をつけましょう。
お湯を注いだら、20秒ほどおいて蒸らします。蒸らす時間はコーヒー粉の鮮度によって変化します。焙煎して間もないコーヒーを使用する場合は蒸らし時間を少し長めにとると良いでしょう。
この工程は「蒸らし」といい、コーヒー作りにおいてとても重要です。蒸らすことで粉に含まれるガスを逃がします。お湯が粉に浸透するようになり、コーヒーの成分をしっかり引き出す準備ができます。
7.数回に分けてお湯を少しずつ注ぐ
20秒ほどおいて蒸らしたら、残りのお湯を少しずつ注ぎます。
バランスよく成分を抽出するには、お湯を少量にわけてゆっくりと注いで抽出することをおすすめします。今回は3回に分けて抽出する3投式の淹れ方をご紹介します。
まず、1投目は80ccのお湯を注ぎます。中心に1円玉程度のサイズの円を描くようにゆっくり注ぐのがポイントです。注いだら、水面が上から1/3程度くらいまで下がるのを待ちましょう。
次に、40ccのお湯を注ぎます。注ぐ際は、1投目に注いだラインを超えないように注意します。ドリッパー内でコーヒーとお湯の接触時間を長く保ち、しっかり成分を抽出します。中央に少し凹みができたら、最後に3投目の20ccを注ぎます。
全部で、80cc+40cc+20cc=140ccのお湯を注いだことになります。
8.抽出したコーヒーをカップに注ぐ
抽出が完了したら、ドリッパーを外して、サーバーの中のコーヒーを軽く混ぜてから、カップに注ぎます。こうすることでコーヒーの成分を均一にすることができます。
これでドリップコーヒーの完成です。
ドリップコーヒーを美味しく淹れるコツ
続いて、ドリップコーヒーを美味しく淹れるコツを紹介します。コツは次の4つです。
・粉の量を調整する
・湯量を調整する
・抽出時間の目安を守る
・使う水にこだわる
初心者でも4つのコツを意識すれば、おいしいコーヒーが淹れられるようになります。1つひとつのコツについて詳しく解説していきます。
粉の量を調整する
お湯の量に対して使用する粉の分量によって、味わいが大きく変わります。粉の量が多いとコーヒー感が強くなり、濃厚でコクのある味わいになります。粉の量が少ないとライトですっきりとした味わいになります。
粉の量の目安は1杯分10〜12gと解説しましたが、飲んでみて好みと違うと感じるなら、粉の量を増やしたり減らしたりして調整してみましょう。
湯量を調整する
湯量によってもコーヒーの味は変わってきます。湯量は蒸らしも含めて160ccが目安(1人前)と解説しました。最初に20cc入れて蒸らし、80cc⇒40cc⇒20ccと合計3回注ぐ3投式の抽出方法は、ドリップコーヒーの基本的な淹れ方です。
ただ、湯量も好みに合わせて変更しても問題ありません。湯量を多くするとコーヒーの味が薄くなり、少なくすると重厚な味わいになります。
抽出時間の目安を守る
コーヒーの抽出は、ペーパードリップの場合は3分前後が目安です。
抽出時間が長いと、余分な味わいが加わり、雑味が感じられます。逆に抽出時間が短いと、十分な成分が溶け出さないため、味わいが薄く、水っぽく感じられます。抽出不足により、甘味や苦味が十分に抽出されないため、コーヒーの複雑さや深みが失われ、単調な味わいになりやすい傾向があります。
コーヒーを抽出する際はタイマーを使って時間を測ると良いです。
使う水にこだわる
最後に、コーヒーに使う水にもこだわるようにしましょう。
水には大きく軟水と硬水がありますが、コーヒーには軟水の方が向いています。軟水はコーヒーの成分が溶け込みやすいためです。硬水にはミネラルやマグネシウムなど、色々な成分が含まれてしまっており、コーヒーが溶け込みにくいです。
なお、日本の水道水は弱軟水ですので、水道水を使っても基本的には問題ありません。ただ、水道水の塩素が強かったり水道管が錆びていたりする場合、コーヒーが美味しくなくなってしまうので、注意が必要です。このような場合は浄水器があると良いでしょう。
まとめ
本記事ではドリップコーヒーの淹れ方について解説しました。ドリップコーヒーを淹れるのに必要な道具や、コーヒーを淹れる手順やコツがお分かりいただけたかと思います。
初心者でも手軽においしいコーヒーを作れるのが、この淹れ方のメリットです。道具を揃えるのは少し面倒ですが、ちゃんとコーヒー専用の道具を使った方が失敗が少なく、本格的な味わいのコーヒーを淹れることができるため、揃えることをおすすめします。