コーヒー豆知識
エチオピアコーヒーの特徴は?産地・種類による風味や酸味の違い
数あるコーヒーの中でも、最も歴史のあるエチオピアコーヒー。品種が数多くあることでも知られており、それぞれどのような違いがあるのか気になった方も多いのではないでしょうか?
今回は「エチオピアコーヒー」をテーマに、その味の特徴や品種による風味の違い、エチオピアコーヒーの伝統的な淹れ方などについて解説していきたいと思います。
エチオピアはどんな国?

エチオピア連邦民主共和国は、コーヒー豆の世界三大品種「アラビカ種」「カネフォラ種」「リベリカ種」のうち、アラビカ種発祥の地と言われています。
国土面積は約110万㎢と日本の約3倍。その国土の多くを平均標高2,300mのアビシニア高原が占めており、高山気候に属する土地ゆえに湿気が少なく、年間平均気温は20〜25℃。さらに5月〜9月に掛けて雨季となり、年間降雨量は1,200mmを超えます。
これらの風土がコーヒー栽培には最適であり、エチオピアのコーヒー豆の生産量は世界5位、アフリカ内では1位※。アビシニア高原では野生のコーヒーの木が自生することもあり、いかにエチオピアがコーヒー豆の生産に適している土地かがよくわかります。
※国際連合食糧農業機関 - Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO) 資料:Global Note 2023年1月20日
※FAO推定値や非公式統計を含む
エチオピアコーヒーはどんな味?

エチオピアコーヒーの味は産地・品種、精製方法、焙煎度合いによって風味がそれぞれ異なりますが、全般的に言えるのは果実のような酸味と甘い香りが特徴的です。
その上品な風味から世界中のコーヒー愛好家から高く評価されており、特に世界で最も古いコーヒー豆と言われている「モカ」については、コーヒー初心者の方でも一度は聞いたことがあるかと思います。
ホットでの飲用はもちろん、アイスコーヒーや水出しでもエチオピアコーヒー特有の酸味と香りを楽しむことができます。
エチオピアコーヒーの産地ブランド(銘柄)は?

エチオピアコーヒーには主に以下のような産地ブランド(銘柄)があります。
- エチオピア・シダモ
- エチオピア・ハラー
- エチオピア・イルガチェフェ
- エチオピア・グジ
エチオピア・シダモ
エチオピア・シダモ(モカ・シダモ)は、エチオピア南部の標高1,400〜2,200mで栽培されており、エチオピアコーヒーの中でも特に有名なブランドです。
柑橘系やベリー系といった果実のような風味、特有の甘い香りを持っており、口当たりはまろやか。コクと軽やかさのバランスが良く、コーヒー初心者から上級者まで幅広く楽しめるコーヒーです。
エチオピア・ハラー
エチオピア・ハラー(モカ・ハラー)は、エチオピア東部の標高1,500〜2,100mで栽培されている歴史的にも非常に有名なコーヒー豆です。
この地域はエチオピアでも最も古いコーヒー生産地の1つとして知られており、火山灰による恵まれた土壌から生まれるコーヒーは高品質で、粒の大きな豆は高級品として扱われています。カカオのような深いコク、なめらかな酸味が特徴的です。
エチオピア・イルガチェフェ
エチオピア・イルガチェフェ(モカ・イルガチェフェ)は、エチオピア南部の標高1,750〜2,200mで栽培されているエチオピア最上級のコーヒー豆です。
柑橘系、ベリー系、ピーチ、リンゴ、アールグレイ、ナッツなど豆によって様々な風味を持っており、芳醇な香りと甘さが特徴。世界中のスペシャルティコーヒー市場で高く評価されており、コーヒーの苦みが苦手な方にも飲みやすいコーヒーと言われています。
エチオピア・グジ
エチオピア・グジは、エチオピア南部の標高1,950〜2,150mで栽培されているコーヒー豆です。シダモ地区と隣接することから、シダモコーヒーに括られることが多かったものの、近年の目覚ましい品質向上により「グジ」の名でシングルオリジンとして注目を集めています。
熟した果実を思わせるような風味、爽やかな酸味、すっきりとした口当たりが特徴的で、シダモやイルガチェフェと似た風味を持ちながらも甘みが強く、グジコーヒー特有のなめらかさと丸みがあります。
エチオピアコーヒーの淹れ方

ここではエチオピアコーヒーの伝統的な淹れ方に加え、エチオピアで親しまれている塩コーヒーの作り方を紹介していきます。
伝統的なエチオピア式
用意するもの |
量 |
ジャバナ(or やかん) |
1個 |
水 |
270~300cc |
コーヒー粉 |
大さじ3 |
砂糖 |
1g(お好み) |
【作り方】
- ジャバナ(or やかん)で、270~300ccのお湯を沸かします
- 沸騰したら火を止め、コーヒー粉を大さじ3入れます
- ふたを開けたまま、弱火で4~5分置きます
- 火を止め、コーヒー粉が底に沈むのを待ちます
- 少し高い位置からコーヒーカップへ注ぎ入れます
- お好みで砂糖を1gほど入れて完成
シャバナにはフィルターが無いため、勢いよく注ぐとコーヒー粉がカップに入り込むので注意が必要です。高めの位置から細く注ぐことで、コーヒー粉がカップに入りにくくなります。
塩コーヒー
用意するもの(1杯分:120ml) |
量 |
コーヒー粉 |
10g |
塩 |
0.1g(お好みの量) |
【作り方】
- エチオピア式または一般的なドリップ方式で、120mlのコーヒーを抽出します
- コーヒーをカップに注ぎ、塩を加えてかき混ぜたら完成
塩味は甘みを引き立てるため、塩コーヒーはチョコレートやクリームなどを使用した濃厚なスイーツと相性が抜群。
なお、塩の量に決まりはないため、お好みで調整しましょう。
エチオピアのコーヒーセレモニー「カリオモン」とは?

エチオピアでは「カリオモン(Kariomon)」と呼ばれる伝統的なコーヒーセレモニーがあります。女性を中心に行われる大切な儀式であり、客人や親族との交流を深めるために執り行われます。
家庭によってやり方は異なりますが、豆を客前で炒るところから始まり、ポップコーンをお菓子として3回に分けてコーヒーを振舞います。最初の1杯目はアボル(Arbol)と呼ばれ砂糖を入れて、2杯目のトーナ(Tona)は塩を入れて、3杯目のバラカ(Baraka)は香辛料やバターを入れて飲みます。
カリオモンの完全再現とまではいかないものの、コーヒー仲間と集まった際には本場の伝統文化にあやかり、時間をかけてゆっくりエチオピアコーヒーを楽しむのも醍醐味の1つと言えます。
エチオピアコーヒーで伝統文化を感じてみよう

非常に歴史深く、世界中のコーヒー愛好家から愛されているエチオピアコーヒー。
そのフルーティーな酸味や甘い香りはエチオピアコーヒーならではのもの。シングルオリジンで楽しむもよし、ブレンドで楽しむもよし、伝統に合わせて塩や香辛料を加えるもよし。コーヒー好きなのであれば、ぜひ1度は飲んでおきたい1杯です。