コーヒー豆知識
水出しコーヒーとは?作り方と必要な器具・分量
夏場になると飲みたくなる「水出しコーヒー」。さっぱりとして飲みやすく、香りと味が凝縮したコーヒー本来の味を楽しむことができます。
最近ではコーヒーショップのメニューでも見かけるようになっており、「自宅でも作れないものか?」とお考えの方も多いはず。
そこで今回は『おいしい水出しコーヒーの作り方』をテーマに3つの淹れ方を紹介!またそれぞれ必要な器具や分量、割合について分かりやすく解説していきます。
水出しコーヒーとは?
その名の通り、水出しコーヒーとは「水を使って抽出したコーヒー」のこと。最近では『コールドブリュー』の名前でも知られています。
その味の特徴は、コーヒー本来の深い香り、苦味の抑えられたマイルドな口当たり。熱を加えず、常温の水にじっくりと時間をかけて浸すことでしか味わえない贅沢な1杯です。
ちなみに、水出しコーヒーの発祥地はインドネシアとされています。一部の喫茶店などでは水出しコーヒーのことを『ダッチ・コーヒー』と呼ぶこともありますが、これは17〜20世紀のインドネシアのコーヒー事情が関係しています。
当時、オランダの植民地であったインドネシアでは、苦味・えぐみの強い「ロブスタ種」のコーヒー栽培が主流でした。そのため苦味を抑え、コクもしっかり味わえる飲み方として「水出し」が誕生したと言われています。
お湯出しコーヒーとの違い
抽出方法 |
水出し |
お湯出し |
抽出時間 |
数時間〜半日 |
数分 |
香り |
強い |
逃げやすい |
苦味・酸味 |
少ない |
出やすい |
口当たり |
さっぱり |
濃厚 |
「水出し」は抽出時間が掛かる代わりに、コーヒーの香りをしっかり閉じ込めることができます。また非加熱のため豆から油分が溶けにくく、苦味の少ないさっぱりとした味わいに。酸化もしづらいため冷蔵庫で保存すれば数日はおいしく飲むことができます。
一方「お湯出し」は短時間で抽出できるのが大きな利点ですが、その反面コーヒーの香りが逃げてしまいやすいという欠点もあります。熱湯を使った抽出のため油分も溶け出し、口当たりは濃厚。その分、苦味や酸味も強くなります。
アイスコーヒーとの違い
水出しコーヒーと似て非なるものに「アイスコーヒー」があります。
水出しコーヒーと同様に冷やしていただくコーヒーですが、アイスコーヒーはホットコーヒーを淹れるように、お湯を使ってドリップした後に冷却することで作ります。つまり、水出しコーヒーとはその抽出過程が異なります。
高温短時間でコーヒーの成分を抽出し、氷で急冷して作るアイスコーヒーは、香りがしっかりと閉じ込められた切れのあるすっきりとした口当たりに。ホットコーヒーよりもキリッと切れ味のある口当たりが特徴。「水出しコーヒーはちょっとマイルド過ぎる」と感じる方にはアイスコーヒーがおすすめです。
水出しコーヒーにおすすめの豆は?
水出しコーヒーはお湯出しと比較すると抽出効率が落ちますので、苦味とコクが強くなる「深炒り」が適しています。最も深炒りの「イタリアンロースト」もしくはその次の「フレンチロースト」がオススメです。
挽目は、一般的なウォータードリッパーの場合「細挽き」が適しています。器具によって最適な挽き目が異なりますが、粉の粒度が粗すぎると抽出効率が悪く薄味になってしまいます。
水出しコーヒーには水道水・軟水・硬水どれがいい?
水出しに限らず、コーヒーに適しているのは「軟水」です。軟水であれば余分なものが入っておらず、コーヒー本来の味を楽しむことができます。
水は含まれるミネラル分の量によって「硬水」と「軟水」に分けられますが、硬水だとミネラル分が多く、苦味が増してしまったり口当たりも固くなってしまいます。
なお、日本国内の水道水も軟水に分類されますが、特に夏場は水道水の水温が上がるためカルキ臭や金属臭が強くなる点に注意が必要です。可能であれば、浄水器を通して水道水を使うことをおすすめします。
水出しコーヒーを作る際のコーヒー粉の割合は?
コーヒー粉と水の割合は、「1:10」です。計算式としては、「水量÷10=粉量」で計算することができます。
例)
・1リットルの場合:1,000ml÷10=コーヒー粉100g
・500mlの場合:500ml÷10=コーヒー粉50g
・200mlの場合:200ml÷10=コーヒー粉20g
水出しコーヒーの作り方
ここからは「おいしい水出しコーヒーの作り方」を3つ紹介していきます。
① お茶パックを使った作り方
② ドリップコーヒーフィルターを使った作り方(浸漬抽出)
③ 水出し専用ポットを使った作り方(点滴抽出)
① お茶パックを使った作り方
1つ目は、市販されている「お茶パック」を使った水出しコーヒーの作り方です。大型のピッチャーを用意すれば、麦茶を作るような感覚で一度に1〜2リットルほど作ることもできます。また使い捨てのパックを使うことから、後片付けが簡単なところもポイントです。
【用意するもの】
・コーヒー粉
・お茶パック
・水
・広口のポットやピッチャー(容器)
【作り方】
1.市販のお茶パック(不織布のパック)に『UCC ゴールドスペシャル コーヒーバッグ 水出しアイスコーヒー 4P』を60g〜80gを入れてコーヒーパックを作ります。(濃い味がお好みの方は80gがおすすめ。)
2.容器の中にコーヒーパックを入れ、1リットルの常温水を注ぎます。
3.常温、または冷蔵庫の中で4〜8時間ほど寝かせます。
4.コーヒーパックを容器から取り出せば完成。
② ドリップコーヒーフィルターを使った作り方(浸漬抽出)
2つ目は、コーヒー粉を直接水に浸してからドリップコーヒーフィルターでこす方法です。普段ドリップコーヒーを飲まれているなら、使い慣れた道具ですぐに試せる作り方になります。
【用意するもの】
・コーヒー粉
・水
・ドリッパー
・フィルター
【作り方】
1.500mlの水が入った容器にコーヒー粉50gを入れます。
2.コーヒー粉が全体に広がるようにスプーンでかき混ぜます。
3.8時間ほど冷蔵庫に置いておきます。
4.ドリップコーヒーを作る時のように、フィルターでコーヒー粉をこしたら完成。
③ 水出し専用ポットを使った作り方(点滴抽出)
3つ目は、水出し専用ポットを使った作り方です。専用器具を必要としますが、より雑味を抑えたすっきりとした味わいが楽しめます。水出しコーヒーを愛してやまない方、本格的な水出しコーヒーを作りたい方におすすめです。
【用意するもの】
・コーヒー粉
・水
・ウォータードリップサーバー
【作り方】
1.フィルターにコーヒー粉を50g入れます。
2.少量の水(50ml程度)を入れ、スプーンで軽くかき混ぜて全体を湿らします。※
3.フィルターをウォータードリップサーバーにセットします。
4.フィルターの上にタンクをセットし、その中に水(450ml)を入れます。
5.タンクの上にほこりよけの蓋をセットし、水がすべて落ちきるまで待ちます(約2〜3時間)。
6.タンクの水がすべて落ちきったら完成。
※かき混ぜすぎは苦味の原因になります。かき混ぜた後に表面を平らにしておくことで抽出しやすくなります。また丸型ろ紙をコーヒー粉の上に乗せておくと、水滴でできる凹凸を防いでくれます。
【もう少しコクを加えたい場合】
「ホットほど苦味やコクは欲しくないけど、ちょっと物足りないな…」と感じる場合は、完全な水出しではなくなりますが、作り方の(2)で熱湯で蒸らしてコーヒー成分を出してから水を点滴すると、さっぱりな飲み口はそのままにコクや深みを加えることができます。
水出しコーヒーを美味しく作るコツ
水出しコーヒーは一工夫することで、さらにおいしく作ることができます。具体的には次のとおりです。
・1日寝かせる
・浄水器を使う
・レモンやオレンジなどの柑橘を加える
浄水器を使う
水出しコーヒーは、使われる水の味が大きく影響します。水道水を使う場合は一工夫することでよりおいしく作ることができます。
水道水の味は住んでいる地域によって変わりますが、どうしても水道水特有の「塩素臭」があります。この独特の臭いが苦手な方も多いと思いますが、塩素を抜く方法もあります。
具体的には、下記の2つで塩素を抜くことができます。
・浄水器を使う
・沸騰させる(10分程度)
浄水器をお持ちでない方も沸騰させることで塩素を抜くことができますが、水に含まれる空気も一緒に抜けてしまうため、水出しコーヒーの味も落ちてしまいます。水道水をそのまま使うのであれば、浄水器を通すことをお勧めします。
レモンやオレンジなどの柑橘を加える
レモンなど、柑橘類がお好きな方は果汁・果肉・ピール(皮)などを適量を入れるのもおすすめ。水出しコーヒーのスッキリとした味わいをより引き立たせてくれます。
またレモンやオレンジなどの柑橘にはストレス緩和効果もありますので、疲れ気味の時やリフレッシュしたい時に最適です。
まとめ
水出しコーヒー作りに特殊なテクニックや器具は不要!おいしいコーヒー豆と水、時間があれば誰でも簡単に作れます!
麦茶感覚で大量に作れるのも魅力。特に夏場は冷やしたグラスに氷を入れ、ゴクゴク飲みたいところ。今回のご紹介したレシピを参考に、ぜひ水出しコーヒー作りにチャレンジしてみてください!